2010年02月

2010年02月26日

怒る企画術

ちょうど4年前。起業して3ヶ月も経っていない頃、起業家としてのキャリアをスタートしたとは言え、まだオフィスには机2つ。インターンの東大生と2人でスタートアップの試行錯誤をしていたときに、出会ったのが、(当時)フジテレビの吉田正樹さんでした。その後、東大の先輩後輩というご縁もありお付き合いをさせていただいております。

出版されて以降、すぐ読みたい!と思っていたのですが、Amazonでは時間かかりそうで、神田の本屋では見つからず(泣)、遅ればせながら、渋谷のブックファーストで購入し、読ませていただきました。アマゾンではずっと品切れ気味なようです。

企画術というタイトルから、企画に関わる人を対象に書かれた本だと思いがちだったり、企画術というスキル面にフォーカスした本だと思って、スキル本はもう結構!と思っている人がいるとしたら、スルーしてしまいそうな本なので、もし、そういう人がいるとしたら、もったいないです。タイトルから連想するスキル本的雰囲気や新書という軽さを超えた、想像以上に熱い一冊です。

背景には、一般的なスキル本的なアプローチへのアンチテーゼがあるように思います。そもそも、企画スキルやプレゼン力などの技術論よりも「怒る」という部分が大事であると。その上で、実践的な技の伝授を惜しみなくしてくれている本です。

読み終わってみると、ページの右上端を折ったページがたくさんありました。その中でも、特に、私が感銘、共感した箇所を紹介します。

・負けている側が勝っている側を何とかしてギャフンと言わせるんだというところに、アイデアの出しがいがある。
・常に「この企画で世の中を変えてやろう」という意気込みで企画を立てるべきです。
・サブカルチャーとして埋もれているものに新しい光を当てて、いかにメインストリームに持ってくるか。すでに人気が出ている主流の人やものを、さらにみんんなに知らせる仕事は、あまり面白くありません
・相手への興味を示さずに自分のことだけアピールして帰るのは言語道断。
・サブカルチャーが大きな川の流れに変わるかどうかは誰にもわからない。最初から大河になることを拒否してしまっているアイデアもあって、その限界が感じられるときはダメだなと思います。
・少数精鋭チーム、ドリームチームというのは排除の論理。
・障害物のある道をわざとつくって、その衝突の中から人を育てたい。
・僕が肯定する怒りは、「大儀」と照らし合わせて間違っているものごとについての怒りです。

他にも、若いうちから大物と仕事をする際の心構えなど、知りたいと思っていた実践的な技が惜しみなく開陳されています。あとがきにもあるように、後世への技の伝達という志のある本だと感じました。

怒る企画術! (ベスト新書 265)
怒る企画術! (ベスト新書 265)




yutaslogan at 23:26コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
書評 

2010年02月18日

理想的なスタートアップのキャリアパス

面白いブログ記事を見つけたので紹介したいと思います。
Chris Dixonさんのブログです。

startupcareerpath


プロフィールを見ると、このお人はどうやら、

・個人投資家としてスタートアップやアーリーベンチャーに関わる
・McAfee社に売却したSiteAdvisorの共同創業者CEOだった
・他にもウェブアプリケーションのスタートアップを大手に売却
・ヘッジファンドやベンチャーキャピタルに勤務していた
・ベンチャーキャピタルではSkypeの初期投資を手がけた
・ハーバードビジネススクールのMBA、コロンビア大学卒

のすごい人です。現在は、flickrの創業者とともに、集合知による意思決定支援サイトHunchの共同創業者となっているようです。


さて、何が面白いかというと、「The ideal startup career path」という記事です。つまり「理想的なスタートアップのキャリアパス」についてです。

その中で、次のような文章があります。


you shouldn’t think of joining a startup as just joining a company. You should think of it as joining the startup career path. This career path could mean starting a company as your first job. It could also mean working at a few startups and then starting a company.

(In my view, if your goal is to start a company, it is mostly a waste of time to work anywhere but a startup ? with the possible exception of a short stint in venture capital).

スタートアップに入るなら、1つの会社に入ると考えてはいけません。スタートアップのキャリアパスに入るのだと考えるべきです。このキャリアパスは、すぐに自分の会社をスタートする形で始まることもありえるし、あるいは、いくつかのスタートアップで働く経験を経て、スタートアップを自分で始めることだってありえる。

(私の考えでは、起業したいのであれば、スタートアップ以外の会社で働くことは殆ど時間の無駄だ。例外的な可能性がありうるとすれば、短期間だけベンチャーキャピタルで働くのは悪くないかもしれないが)


スタートアップ(創業段階のベンチャー企業)で経験することが、将来的に、自分でスタートアップを始める(起業する)のにつながる、というお話。

さらに、将来起業したいなら、スタートアップ以外の会社で働く経験はほとんど無駄だと言っています。

大企業とかコンサルとか経験してから起業しようと考えている人が多いように思いますが、これは間違いだと。唯一の例外は、ベンチャーキャピタル。でも、それもあんまり長くいない方が良いという感じ。



Maybe you will make some money working at a startup, but more importantly you will hopefully work for founders and managers who are smart and willing to mentor you and eventually fund or help you fund your startup.

The startup world is extremely small. If you’re smart, work really hard, and act with integrity, people will notice. Contrary to popular wisdom, you will actually have more job stability than working at a big company. And hopefully you’ll go on to start your own company, gain independence, and then help others do the same.

たぶん、スタートアップで働くことでお金をいくらか稼ぐかもしれないが、それ以上に重要なことは、将来、あなたに助言してくれたり、出資したりして助けてくれる優れた創業者や経営幹部の人たちと働くことになることだ。

スタートアップの世界はとても狭い。あなたがもし、賢くて、一生懸命働いて、誠実に行動してさえいれば、誰かが見ているものです。一般的には、大企業で働いた方が雇用の安定を得られると思われているけど、逆で、スタートアップで頑張る方が、大企業で働くよりも、雇用の安定を得られます。そして、うまくいけば、自分の会社を起業することになるだろうし、独立した地位を築くだろうし、いずれ、後進の起業家予備軍を助けることもできるようになるだろう。


これもとても良いメッセージです。

スタートアップの世界で頑張っている方が、大企業で働くよりも、よっぽど雇用の安定を得られる

要は、ちゃんと頑張っていれば、見る人が見ているため、いくらでも声がかかる。1社つぶれようが、また次の会社がすぐに見つかるし、優れた創業者や経営陣とのリレーションも濃く築けることが、将来的に自分が経営者になるときの財産になるのだというお話。

一般的には、大企業で働く方が人脈を作れると思っている人が多いように思いますが、実際に、起業家のメンターであり、資金的な支援者ともなりうる、濃い人脈は、大企業よりもスタートアップの方が得られるのは間違いないですね。(大企業でも幹部クラスになれば別でしょうが、それは20-30年かかります)

もっと読まれても良い文章だと思ったのですが、少し調べたら、日本語訳しているのも発見できなかったので、拙い翻訳ですが、日本語にしてみました。

ご興味ある方は、ぜひ、リンク先の全文をご一読ください。

p.s.

上記、文章を読んで、なぜそうなのか?という辺りをもっと知りたい方は、学生であれば、GOOD FIND「起業家・経営者を目指す人のためのファーストキャリアはどうあるべきか?セミナー」にて説明できますのでお越しください。

私自身の大企業での経験とスタートアップでの経験、そして、多くの先輩経営者、起業家からヒアリングした結果や、日本のスタートアップベンチャーを独自に調べた結果、上記とほぼ同じメッセージを論理的に説明できる自信があります。


yutaslogan at 20:32コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
起業・経営 | 気づきの言葉
Profile
伊藤 豊 スローガン株式会社 1977年11月に栃木県宇都宮市に生まれる。1996年私立開成高校卒業後、東京大学理科一類へ。文転し、文学部(行動文化学科心理学)卒業後、2000年に日本IBMに入社。システムエンジニア,関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネジャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事すると同時に、ベンチャー企業の設立に携わり、マーケティング、ウェブ系プロモーションを主に担当した後、スローガンを設立。現在に至る。 「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」 スローガンGoodfindFacebookTwitterLinkedIn