2010年08月

2010年08月27日

PayPalマフィアをさらにディープダイブしてみた

先日のブログ記事「ブランド企業に就職すると良いという誤解」について、件の予備校プログラム監修者の佐藤純さん(@j_sato)がブログ記事を書いてくれているの発見しました。ケンカ売るようなタイミング(笑)で書いた私の記事に丁寧に反応してくれた寛容なご対応に感謝です。


「就職先選びがブランド志向なのは当たり前」: これは価値観とは別の話(株式会社フルライフの社長ブログへのリンク)

PayPalマフィアについての記述について補足してくれています。とても丁寧な分析ありがとうございます。

PayPalマフィアって言っても、彼らの初職は、7名のサンプル中、コンサル3名、大企業2名、起業経験者1名で、もともとPayPalは1名のみだぜ、というご指摘ですね。

たしかにその通りですが、大企業2名ってのはちょっと違うかと。あと、起業経験者ってのも、括りとしては、初職=スタートアップという括りが適切かと思います。

各人について私の補足分析は下記のとおり。
______________________________________

Reid Hoffmanは初職アップルですが、90年前後のアップルを大企業(ブランド企業)と言って良いのか微妙ではないでしょうか?当時売りに出されるなど業績的にはずっと不振だったはずです。

Elon Muskは、ネイティブな起業家で、もとから初職がスタートアップで連続して起業を成功させるシリアルアントレプレナーですね。

Roelof Bothaは、初職は南アフリカのMckinseyですね。2年も経たずにやめてスタンフォードMBA、その後PayPalですね。

David Sacksはたしかに初職Mckinseyですが、1年も在籍せずに、PayPalの創業に参画しています。

Premal Shahは初職がMercerですが、1年半しか在籍せず、その後PayPalです。

Chad Hurleyは初職PayPal。

Jeremy Stoppelmanは初職がExcite@Homeという当時設立直後のスタートアップだったはず。6か月だけ働いて、スタートアップのPayPalにジョイン。
______________________________________

紹介されている7名についてのより正確なサマリーは、

コンサル3名(全員2年未満退職)、上場ベンチャー(アップル)1名、スタートアップ系3名(うち1名共同創業、1名 PayPal)

となりますね。


◆拡大版:PayPalマフィアの初職分析

実は、他にも重要なPayPalマフィアの主要メンバーがいまして、その人たちの中には初職PayPalという人が何名もいます。

(以下のとおり)
______________________________________

Max Levchin(Slide創業)の初職:スタートアップ(共同創業)
http://en.wikipedia.org/wiki/Max_Levchin

Steve Chen(YouTube創業)の初職:スタートアップ(PayPal)
http://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Chen_(YouTube)

Jawed Karim(YouTube創業)の初職:スタートアップ(PayPal)
http://en.wikipedia.org/wiki/Jawed_Karim

Russel Simmons(Yelp創業)の初職:スタートアップ(PayPal)
http://www.yelp.com/management

Daniel Issen(AdBriteのVP)の初職:スタートアップ(PayPal)
http://www.crunchbase.com/person/daniel-issen

Jared Kopf(Adroll他創業)の初職:スタートアップ(共同創業)
http://www.linkedin.com/in/jaredkopf

Dave McClure(投資家)の初職:独立ITコンサルタント
http://www.linkedin.com/in/davemcclure

Keith Rabois(数々の企業の経営陣):Law Clerk(法務書記?)
http://www.linkedin.com/in/keith
______________________________________

私が追加した8名を加えて、15名の主要サンプルを分析すると、

コンサル3名(全員2年未満退職)、上場ベンチャー(アップル)1名、スタートアップ系9名(うち3名が共同創業、5名がPayPal、1名が別のベンチャー)、その他2名(独立コンサル、法律事務所)

となりました。

ということで、初職もスタートアップが多いということです。

(サンプルの取り方次第でどうでもなるじゃん?という指摘はあるかと思いますが、今回の15名でかなり主要どころ網羅してるはず
参照URL:PayPal Mafia(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/PayPal_Mafia


◆注目すべきは、初職が伝統的な大企業という人が皆無である点

伝統的な大企業を初職で選ぶ人は皆無であるという点が私としては注目すべき点かと思います。

私が主張したいのは、最初にブランド企業、有名企業に入らなくても、というかむしろ伝統的な大企業に入らない方が、若くして経営人材としてタレント化する可能性が高いのでは?という指摘です。

若くして起業家や経営人材になるには、初職がスタートアップまたはコンサルファームが良さそう、というのがこのPayPalマフィアの経歴分析から導かれる仮説ではないでしょうか。



◆コンサルファームが良い理由

上記PayPalマフィアの何名かの初職がコンサルである点は納得できます。MckやMercerなどのコンサルは、終身雇用ではなく、Up or Outのカルチャーで大部分の新卒ジュニアポジションの人たちは2年未満で退職する傾向があります。その1-2年の中で、ハードワーキングなカルチャーで、スピード感のあるアウトプットを求められるビジネスアナリストとしての経験は、ビジネスアスリートとしての基礎体力をつけるという意味があると思います。

それより何より重要なのは、「数年で辞めるのが当たり前のカルチャー」という点です。いずれ辞めると考えていれば、常にビジネスチャンスに敏感になり、PayPalのようなホットスポットを見つけてジョインすることもしやすいわけです。

(日本でもネットバブルのときにコンサル→ベンチャーの流れが起きました。コンサルがブランド企業だったからというよりも、単に終身雇用カルチャーではなく流動性の意識が高い人材の集まりだったコンサルからベンチャーに人が流れたと考えるべきかと思います)

ちなみに、日本でも、DeNAの南場社長やケンコーコムの後藤社長など初職がコンサルの経営者が何名かいらっしゃいますが、当時の日本におけるコンサル業界は、まだ黎明期にあり、「コンサルなんて日本では流行らない」「銀行蹴ってマッキンゼーなんてバカじゃないか?」と言われた時代です。南場社長の頃のマッキンゼーに在籍していた人から聞いた話だと、当時は今と比べて本当に無名な会社で、ブランドも何もなかったし、学生の間では少なくとも無名だった。そんな中良く分からずに入ってきた変わり者の集まりだったということです。

(まさに今のスタートアップと同じような感じじゃありませんか)


◆でもやっぱり、スタートアップや新興企業が良い理由

また、残りのPayPalマフィアの初職がスタートアップや新興企業だったりするケースが多いのも、納得できます。伝統的な大企業に入って、マネジメントの階段をゆっくり登ろうというタイプは、30代・40代前半までに起業家や経営者・投資家として活躍するには、時間軸的には難しいのではないかと思います。

スタートアップや新興企業であれば、事業の成長に組織の成長が追いつかずにいつも人不足の状況が生まれ、一人当たりの裁量が大きくなり、常に能力的なストレッチを強いられます。20代半ばでマネジャーに就任し、20代後半で部下を数十名率いるなんて経験は、スタートアップや新興企業にいかないと得難い経験です。そうすることで、若くして経営人材になるためのハシゴを登っていけるのです。


◆以上踏まえて、初職が伝統的な大企業では起業や若き経営者を目指すには不利であることを言いたい

私は、将来起業家になろう、経営者を目指すという学生がいたときに、「だったら伝統的な大企業に入ってもあまり役に立つ経験はできない。むしろ起業家や若くして経営者になるという志から遠ざかってしまう可能性が高い。

理想はスタートアップに近いところで優秀な経営陣の近くで仕事をすること。もし、その縁がなかった場合には、コンサルファームとか短期でスピーディに成長できる終身雇用じゃない環境で修行してからベンチャーに移るのも悪くない選択じゃないか」と話しています。

そもそも、この一連のお話は、「若くして経営人材・起業家を目指す学生」向けに話をしているので、それ以外の学生の皆様には、ブランド大企業を初職として選択すると良いのでは?、というのが至極真っ当で、助言する側もされる側も、リスクの低い、安全パイなご意見かと思います。これについては異論なしです。


※余談ですが、だからこそ、スローガンでは、優秀な経営陣がいる選りすぐりのベンチャー企業とコンサルティングファームに特化して就職機会の提供をしています。巷の新卒紹介業態とよく一緒にされがちですが、業態としては、セミナー開催・マッチングの場の提供の要素が強いです。「金に糸目付けないブラック無名企業に人を紹介しているあこぎな商売しているな」とかいう完全に的外れなコメントが一部からあったのでその点、誤解なきようお願いします。


※ここまで力説しても、結局これってシリコンバレーの話であって、日本では事情は別でしょ、的な思考停止は是非やめていただきたい。上記のような現象が起こる根本ロジックは日本でも適用されると思います。

※何を書いても言っても、「ポジショントークだからさ」とか「でも、この伊藤って人ははじめにブランド企業入っているんでしょ?」とか本質じゃない思考停止もやめましょう。ポジショントークだからさ、という思考停止の罠については別エントリーでまとめます。


併せて読みたいおすすめ記事
今就職するなら、「受け皿型企業」じゃなくて、「踏み台型企業」がいいかも
(ロケスタ社長日記より)

理想的なスタートアップのキャリアパス
(スローガンを持って生きよう 過去記事)


yutaslogan at 20:13コメント(1)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
気づきの言葉 | 人材発掘・育成

2010年08月26日

就活を継続する2011生に送る「ジョブハンティングのすすめ」

就職活動を英語で表現すると、ジョブハンティング(Job Hunting)となるわけですが、この英語のHuntingという言葉に少しワイルドさを感じます。日本の就職活動生の多く(特に、志望度の高いところからの内定がなくて困っている学生たち)に欠けているのは、このワイルドさではないかと思っています。


文部科学省が今月発表した学校基本調査速報によると、今春卒業した大学生の就職率は60・8%で、前年からの下げ幅は過去最大のマイナス7・6%だった。進学も就職もしていない進路未決定者は約8万7000人で、高卒も含め15万人近くが行き場がない。

 就職情報大手「毎日コミュニケーションズ」のインターネットサイト「マイナビ」編集長の望月一志さんは「来春も今年と同程度か、それ以上の規模の未決定者が出るのでは」と危惧(きぐ)する。

(引用元)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100825-00000010-maiall-bus_all


就職先が決まらずに漂流している人の中には、とても優秀でイケている学生もいます。特に、留学から帰ってきたとか、海外大学に行っていたとか、いう理由で、日本の就職活動のピーク時期である3-4月を逃してしまった人たちは、その後、5月・6月以降に就職活動をしても苦戦してしまうという例がたくさんあります。

私は、ここ何年かこういった学生たちにお会いしてきて、この状況を何とかできないかと思い、いくつかの処方箋を考えてアドバイスしてきました。
そのいくつかをブログでも共有しようと思います。一部の学生たちに有意義なものとして役に立てば幸いに思います。



◆正面玄関が閉まっているなら勝手口を探そう

リクナビやマイナビなど大手ナビ媒体や企業の採用ページで、採用は締めきりました、終了しましたと書かれていて諦めてしまう人が大多数だと思います。あるいは、新卒採用自体をやっていない会社に興味をもった場合には、新卒はやっていないのかと、諦めてしまう人がほとんどでしょう。

しかし、正面玄関が閉まっていても、勝手口からなら入れる可能性がある会社が多いと思います。

どういうことか、例を挙げて説明しましょう。

例1).
実話ですが、通常エントリーは4月には締めきってしまい、新規のエントリーはできない、人気の上場企業に、卒業直前の2月にエントリーして入社を決めた学生の例があります。彼はツイッター上で、同社の社員と絡み、たまたま意気投合して、面接のルートに乗って、とんとん拍子で内定となり、入社を決めました。


例2).
私が以前訪問した会社で、ウェブサイト上には新卒採用の表記がなく、一般的には新卒採用をやっていないと思われている会社の社長がこうおっしゃっていたのが印象的です。「新卒採用ってコーナーがウェブ上になくても、たまに問い合わせてくる学生がいるんだよね。そういう学生は会ってみたいし、過去にそれで会ってみて採用した新卒がいますよ」と。


この2つの事例からわかることは、正面玄関を閉じる(リクナビや公式の採用ページをクローズする)のは、膨大なエントリーをさばく手間がかけられない以上、ある意味仕方ないことで、期間限定でオープンして、あとは閉じておくしかないのが人事採用スタッフの工数を考えると妥当と言えば妥当です。

しかし、実際に優秀な人(=自社の採用基準でイケている人)がいるなら、あと1-2名は採用しても良いと思っているケースも多いのも事実です。

しかし、そのいるかどうかわからないあと1-2名の優秀な人に期待して、膨大なエントリーをさばくのはご免だと思っているのが企業側の本音かと思います。

つまり、企業側に「お、この人は良いかも!」と思わせる方法があれば、採用ルートに乗ることはいつでも可能なのです。(勝手口から通してもらえる)



◆勝手口の見つけ方・入り方の具体的アプローチ紹介

アナログとデジタルの2つの方法があります。
とにかく、意中の会社の経営陣や社員の人と接点をもって、相手に興味を持ってもらうことが大事です。そこから「君面白いから、ちょっと家に上がって行きなよ」と勝手口が開かれて、「君、ところで就職先は決まっているの?え?まだだって?じゃあ、うちにおいでよ」という話になる可能性があるのです。


▼アナログ的手法

採用担当者や経営者の人に

- 手紙を送る
- 電話をする
- 夜討ち朝駆け(笑)

いずれにしても、御社に興味があるので面接を受けさせてほしい、新卒は締めきっている、あるいは採っていないなら、将来どこかで経験を積んでからでも入りたいと思っているので、是非一度このタイミングで話だけでもさせてほしい、と伝えると良いかもしれません。

手紙を送ってから、電話が一番丁寧なやり方だと思います。

手紙のコツは、どこの企業にも送っていると思われないようにカスタマイズすること。電話のコツは、いろいろありますが、採用担当者に電話をつないでもらえるように、うまい方法を考える必要があります。(これは皆さんの知恵次第です。営業力が問われます。例えば、テレアポの営業の本とか読むといろいろとコツが書いてあるので勉強になるかも)

夜討ち朝駆け(笑)は、社長の顔がウェブサイトで分かっている場合に、会社のエントランス前で、朝早くから社長の出社を待って、出社してきた社長にエレベータトークするという荒業です。よほどその会社に熱意があって、自分を採用すべきだ!という自信のある人かつ謙虚な人のみ、おすすめします。


▼デジタル的手法

- Twitterで意中の会社の人を探して絡む
- facebookで意中の会社の人を探して絡む
- LinkedInで意中の会社の人を探して絡む

Twitterのアカウントを実名でプロフィールもしっかり書いて運用しましょう。ブログをちゃんと書いてブログへのURLリンクもあるとなお良しです。上場企業の社長や役員の方々も意外とTwitter上にアカウントを持ってらっしゃいます。

※ちなみに、私も一部上場企業の社長とTwitter上でアポイントを取ったことがあります。

facebookやLinkedInも、日本の大学生はあまり使いこなしていないかもしれませんが、こちらも実名で経歴を公開している社会人が多いので、意中の会社の経営者や社員を見つけるのに使えることがあります。

絡み方としては、例えば、OBOG訪問的な感じで、御社のどこどこに興味があるのでお話を聞かせてほしいといった感じが良いかもしれません。

いずれのプラットフォームを使うにしても、自分のプロフィールをしっかりと晒して、ブログやTwitter等でコンテンツを発信している人であれば、絡んでいったときに、相手にしてもらえる率が高まると思います。

※基本的に本名を公開していない匿名のアカウントに絡まれた際には、無視する人が多いように思います。私も匿名アカウントから絡まれるとあまり対応したくないなと思うことが多いです。

◆最後に

ここまで読んでいただいた学生の皆さん、おそらく上記を本当に実行する人は、読者の100人中5人ぐらいだと思います。実際はこれをやると良いと知っても、実際にやる行動力のある人は5%ぐらいかもしれません。

なので、企業の皆さん、安心してください。私の記事の影響力はそもそも小さいですし、仮に多くの学生が読んだとしても、夜討ち朝駆けするような根性のある学生は5%もいませんので、皆さんの仕事を邪魔するほど、混乱を招くことはないかと思います。

ただ、この就職難の時代に、少しでも状況が好転するように、従順でおとなしくまじめすぎる学生たちに、少しのワイルドさをもってジョブハンティングする姿勢が出てくれば、機会創造につながるのではないかと、期待して書かせていただきました。


私が昔、会社の先輩から言われた言葉で若いころの行動指針になった言葉を最後に送ります。

「遠慮はするな。でも、礼儀は守れよ」

礼儀さえ守っていれば、遠慮なんていらないということで勇気が出ました。その分、最低限のビジネスマナー・礼儀は勉強しましょう。本一冊ちゃんと読むか読まないかで大きく違うので、自信なし人は必ず礼儀作法は勉強してください。

メールのマナーとかは意外と知らない学生が多いので、一度、チェックしてください。(参考リンク:「ワンランク上のメール術講座」



yutaslogan at 23:51コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
気づきの言葉 | 人材発掘・育成

2010年08月23日

ブランド企業に就職すると良いという誤解

学生はもちろん、多くの社会人が持ちやすい誤解について、改めてちゃんと書いておきたいと思います。

ブランド企業に入りたくてしょうがないブランド志向の学生諸君、ブランド企業の内定者の皆様、ブランド企業に在籍する社会人の皆様、ブランド企業に入ることを目指す学生向けに高い講座を販売している業者の皆様は、必死になってこの事実を否定したくなる気持ちもわかりますが、実際に私が目にしている事実のケースをもとに書いていますので、真実を含んでいるものとして受け止めていただければと思います。



◆中途採用の際に前職がブランド企業・大企業だと評価されるという誤解

転職の際に、履歴書の社名を見られて、無名企業だとダメ、有名企業だとOKと、企業側が判断すると考えている人は、採用担当をバカにしていますね。もちろん、そんなバカな採用担当もいるかもしれませんが、賢明でまともな採用担当がいる会社に転職したいのであれば、前職がブランド企業であれば転職しやすくなるなどと考えないことです。

私は、いろいろな会社の経営陣や採用担当の方々と日々コミュニケーションさせていただいていますが、中途採用において、前職がブランド企業・大企業であることが有利に働くケースももちろんあるが、その逆の状況も見てきました。

有利に働くと言っても、学歴と同様に、最低限の品質保証をするものでしかなく、○○大学に入れた程度の学力はあります、○○商事に入れた程度の能力はあります、という過去の履歴を評価する程度にしか使われません。経験上、大学も無名、職歴に並ぶ会社の無名の場合には、書類で落とされる率は上がると思います(残念ながら事実かと)。ただ、学歴が有名一流大学、職歴が無名企業の場合には、逆に興味を持たれて、会ってみたいと思うのが人情です。(価値の源泉は希少性にあるわけですから、希少な人には会ってみたいと思うものです)実際に、有名大学卒であれば、職歴にブランド企業、有名大企業がなくても、面接に進めるケースがほとんどです。

逆に、東大卒・○○商事5年目みたい人は、ブランド志向が強すぎて、プライドも高そう、その割に仕事ができない(大企業の看板にあぐらをかいているのでは?)と思われて、そもそも面接に呼ばれないケースもあります(これ実話)。

もうちょっと本質的な話をすると、本来、中途採用では、実際にやってきた仕事内容や業務実績を評価する傾向があります。例えば、世間的には無名の証券会社にいても、M&Aやストラクチャードファイナンス、あるいは不動産金融など、専門性の高い業務実績があり、経験が数年以上あれば、有名大手証券会社や、世界有数の外資系投資銀行などに中途入社できます(これも実例多数ですが、2000年頃からリーマンショックまでの話かもしれません)。

あと、そもそもの話をすれば、ブランド企業というのは、産業や事業、会社のライフサイクルに依存しており、ブランドになった時点で、ライフサイクルの成熟期を迎えている可能性が高いのです。成熟の後に、さらなる成長カーブに行く会社も稀にありますが、ほとんどの会社は衰退期に入ります。東大生に人気の就職先は、ピークアウトしているというのは、あながち根拠のない説ではないのです。(東大生はブランドを追い求める傾向にあり、ブランド化している会社はライフサイクルの成熟期にある可能性が高い。よって、東大生の人気志望先は成熟→衰退に陥る可能性が高いというロジック)

サンプルを出して説明すると、私が大学を卒業した2000年の東大生の就職先第1位は日本アイ・ビー・エムでした。ちなみに、後にも先にも、東大生が最も多く就職した会社が同社だったのはこの年以外ありません。で、日本IBMの業績はというと、2000年当時 1兆4000億ぐらいだった売上が、2009年で9500億円程度に落ちています。10年間で3分の2に減っているわけです。(社員数は現在非公開となっていますが公開していた時期までの記憶をたどると同様の比率で減少しています)



◆起業する際にも、ブランド企業出身者の方が出資を受けやすいという誤解

もし、こんな誤解をしている人がいるとすれば、VCなど投資家の方々をバカにしすぎですね。確かに、前職がブランド企業だから投資するというバカな投資家も世の中にはいるのかもしれませんが、賢明でまともな投資家と付き合いたいのであれば、ブランド企業出身であるという程度で出資を受けられると思わないことです。

私は起業家として、自ら会社を立ち上げました。VCの方々にもたくさんお会いしました。ある投資家の方が言っていたのは、「あなたみたいな有名大手企業で働いていて起業しましたみたいなタイプは一番投資しづらいんですよね」と率直に言ってくれました。当時の私は、少しショックを受けましたが、理由を聞いて、至極納得したのを覚えています。彼が言うには、「ベンチャーと大企業では求められる力が全く違うし、スポーツに例えれば、使う筋肉が違う」のだと。「大企業しか経験のないあなたがベンチャーで成功する保証はないし、ましてやスタートアップでは厳しい。もう一度、別のベンチャー起業家のもとで修行しなおしてから起業しても遅くないのでは?」とまで言ってくれた。幸い、私はそのことを素直に受け止めて、自分のプライドを全て捨てて、自分は優秀であるという勘違いから脱して、起業家の先輩たちから謙虚にすべて学ぶようにしたのです。当時、お世話になった起業家の先輩たちからたくさんのことを学びました。今、起業して5年近く会社を続けてられるのは、その頃に学んだことのおかげです。前職の大企業には恩義を感じてはいますが、起業家として役に立つことが学べたか?という点ではゼロに等しいと言い切れます。

他のVCの方から言われたひとことも紹介しておきましょう。投資したくなるタイプの起業家の特徴を教えてくれました。一番投資しやすいのは、「トラックレコードがある起業家」だと言っていました。トラックレコードとは、ベンチャーでの実績のことを指し、「例えば、上場前のアーリーベンチャー時代に入社して、経営幹部まで出世して、その後、上場まで経験している経営幹部が起業する場合」などと説明をしてくれました。確かに、ベンチャーの成長カーブを体験しており、かつIPOまで経験している起業家率いるマネジメントチームのメンバーだったのであれば、同じようにベンチャーを創業し、上場まで至る再現性が高いと判断するのでしょう。


最後に、シリコンバレーの例も引き合いに出してみましょう。
米国では、PayPalマフィアと呼ばれる起業家・投資家のネットワークがあります。PayPalは1998年に設立され、2002年にeBayに売却されたオンライン決済サービスのベンチャー企業です。この間に数百人しかいなかった元経営陣や元スタッフが、次々と起業家となって大きな資金調達に成功しているのです。
今でこそ、PayPalは世界的なインターネット会社で、もしかしたらブランド企業と言って良いのかもしれませんが、では、当時のPayPal(1998-2002)はどうだったでしょうか?ブランド企業ではなく、スタートアップ・アーリーステージのベンチャー企業だったわけです。

同じように、楽天出身者が投資家から評価される現象が日本でも起こっていると思いますが、ブランド企業になりつつある現在の楽天ではなく、マンションの1室からスタートしたスタートアップ期から上場前後の数百人の規模の頃(まだブランド企業化していない頃)の楽天の出身者が、投資家から起業家として高い評価を受けているのです。(GREEの田中社長も楽天が50人以下の規模の頃からジョインしている)

※シリコンバレーの例を出すと、ここは日本だし、かの国とは事情が違うとか反応しちゃう思考停止もやめてほしいですね。シリコンバレーの話が日本にも応用できるかはケースバイケースです。


以上、急いで書いたので粗があったり、文章として言葉足らずな点があるかもしれませんが、ご容赦ください。


※上記一連の記事に対する、反論・質問・ご意見は歓迎です。ただし、匿名で批判してくる人とかあげ足とる人は勘弁してください(フェアじゃないので場合によっては無視します)。批判があれば正々堂々と名前を出して絡んでください。

yutaslogan at 22:16コメント(4)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2010年08月12日

マスコン - 大学生・大学院生のための数学力コンテスト

大学生・大学院生を対象とした数学力コンテストを開催します。今回、数学力をもった才能を発掘し、支援する目的で、スローガンが企画したコンテストです。特別協賛企業として、あのエリジオン社が賞品・問題提供として支援してくれています。

エリジオン社は知る人ぞ知る、日本発の世界的なIT企業として少数精鋭のプロフェッショナル集団です。ルノーやボーイングなど世界的メーカーに直接ソフトウェアを販売している3次元形状処理分野の隠れたトップ企業です。

そんなエリジオン社が問題提供し、豪華賞品も用意するのが、今回の数学力コンテスト「マス☆コン」です。

マスコンの公式ページから例題を見ることができます。
正式な問題発表と解答エントリー受付期間は、9/13-10/20となっています。

数学力・論理的思考力に自信のある学生のみなさん、是非チャレンジしてみてください。

マスコン公式サイト


yutaslogan at 23:25コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
Profile
伊藤 豊 スローガン株式会社 1977年11月に栃木県宇都宮市に生まれる。1996年私立開成高校卒業後、東京大学理科一類へ。文転し、文学部(行動文化学科心理学)卒業後、2000年に日本IBMに入社。システムエンジニア,関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネジャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事すると同時に、ベンチャー企業の設立に携わり、マーケティング、ウェブ系プロモーションを主に担当した後、スローガンを設立。現在に至る。 「人の可能性を引き出し、才能を最適に配置することで新産業を創出し続ける」をミッションに、人を軸にした新産業創出エコシステムをつくる活動に注力中。 スローガンGoodfindFacebookTwitterLinkedIn