2008年02月08日

新卒の売手市場に思うこと

10年も前の話だ。私が就職活動をしたのは。当時は、選択肢として、ベンチャーと言う言葉はなかった気がします。
少なくとも、東京大学という権威主義的な場においては、ベンチャーという言葉を口にする人はすごく少なかったと思う。不思議なのは、一方において、mixiの笠原社長しかり、チームラボ猪子社長しかり、75年-78年世代で同時期にキャンパスをともにしているはずの東大生の一部はひっそりと起業していたり、ベンチャー企業でインターンをしていたりしている。同時期の自分は完全に寝ボケていた。先日も、とある学生から伊藤さんは大企業で学んだことをもとに起業されたのですよね?と言われたが、それは大いなる誤解です。大企業で学べることとベンチャーで必要なことは全くと言ってよいほと違います。自分はその点、後悔もあり、今は頑張って大企業に行ってしまったことで生じた遅れを取り戻すべく頑張っています。

そもそも。
皆がこっちだ!と向かっている方向には、たいした成功なんて存在しなくて、皆がなんで?と思う不思議な方向にきっと成功の道があるのでしょう。それはいばらの道で不安が多いかもしれないけど、それだけのリスクテイクをするからこそ、リターンが大きくなる。皆から称賛される、良いねと言われるような選択をする時点で、ローリスクテイクになっているわけで、その時点で平凡か中の上の人生が決定する。それで良いならそれでよいが、能力とやる気の高い優秀な若者がそのレベルに収まってしまうのはもったいないと思います。

でも、今の日本に危機感を持てないのも無理はないかもしれない。身の回りは豊かだし、そんなに危機感はないかもしれない。特に問題意識もないもんだから、安定してよい生活ができる大企業に入ることが正しいと思うかもしれない。あるいは、世界の貧困をなくすとか、そういったスケールの話をしたくなるのも無理もないかもしれない。でも、ボケている余裕なんてないし、そんな結局何もできないくせにと言われかねない問題に取り組むポーズをするよりももっと取り組むべきことはたくさんある。新しい産業や事業を生み出し、世界に通用する商品やサービスを産んでいくこと。日本が国際社会でどうポジショニングしていくかを真剣に考えないといけない。そういう視点でもって就職も考えられる人が増えると素敵な社会になるんだろう。リクナビとかみん就とか見て、大手企業のエントリー状況とか気にしているような器の小さな人ばかりでは未来はない気がします。

yutaslogan at 08:55コメント(2)トラックバック(0) 

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コメント一覧

1. Posted by dsaga   2008年02月08日 12:06
私はどうこう言える立場にないのかもしれませんが、インドや中国の方々と接すると彼らが国の成長を背負っていること、めいっぱいストレッチして積極的に自らビジネスを創りだそうとしていることに敬意を払うと共に危機感を覚えます。
2. Posted by いとう   2008年02月15日 01:15
身を置く環境によって、この危機感をどの程度感じるかは変わってきますね。
最近、大学生と接することが多く、この辺の危機感の欠如に、危機感を覚えたり。

草の根的に活動する自分に無力感や敗北感も味わいながらも、何もしないわけにはいかないという一心で、日々、草の根ベンチャー活動に勤しんでいます。

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Profile
伊藤 豊 スローガン株式会社 1977年11月に栃木県宇都宮市に生まれる。1996年私立開成高校卒業後、東京大学理科一類へ。文転し、文学部(行動文化学科心理学)卒業後、2000年に日本IBMに入社。システムエンジニア,関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネジャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事すると同時に、ベンチャー企業の設立に携わり、マーケティング、ウェブ系プロモーションを主に担当した後、スローガンを設立。現在に至る。 「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」 スローガンGoodfindFacebookTwitterLinkedIn