2010年07月27日

「なくてはならない」会社でなくてはならないのか?

「なくてはならない会社を目指す」とか「なくてはならない商品・サービスをつくる」とかって聞くと正直、違和感があります。

※特定の何かを想定して言っているわけではなく、今までの経験上感じていたことですので、あしからず。

「なくてはならない」というのは、顧客にとって不可欠であるという意味で、とても素晴らしい価値を提供しているものだという前提があるのでしょうが、本当に顧客視点に立っていたら、自分たち(顧客)にとって不可欠なものが増えるとどう感じるでしょうか?と考えてみるとその違和感の正体がわかります。

自分たちが顧客だとして、不可欠に感じるサービスや商品があるとします。しかし、不可欠であるということは、なくなると困る、代替品がないということでもあり、不自由でもあるわけです。そうした不自由をお客様に強いてしまうサービスはどうなのだろうか?と思うわけです。

もちろん、競争戦略上の論点で、不可欠な提供価値を見出すべし、というのはわかるのですが、それをお客様にも見える形で押し出して「なくてはならない存在」をうたうのは、ちょっと違和感があるというお話です。

「なくてはならない商品・サービスを!」という発想は、一見して顧客志向な言葉のようでありながら、実は、とても自分たち都合な言葉であって、お客様都合の考え方ではないのではないかと。

私の考えでは、
そのサービスがなくても、他のサービスでもまあ何とかなるんだけど、やっぱりこのサービス・商品を使う方が圧倒的に良いんだよねと思ってもらえるようなもの。それがぐらいが良い塩梅ではないかと思っています。

例えば、
某大手就職ナビサイトなんかは企業や学生にとって「なくてはならない存在」かもしれませんが、企業も学生も喜んで使っている人は少ないかもしれません。その点、皮肉も込めて言うと、ビジネスとしては、とても優れていると思います。顧客もユーザも喜んで使っていないのに、使わざるを得ない状況を作り出し、毎年毎年使い続けさせるわけですから。顧客もユーザも喜んでいないけど、使わざるを得ない状態。極端に言うと、サービス提供主だけがハッピーなモデルも存在し得るわけです(もちろん、顧客、ユーザの中にも喜んでいる人はいると思いますが。いやいや使っている人も多いのも事実なので)

こんなことを考えながら、自分たちの目指すサービスのあり方、立ち位置、顧客への提供価値というものを深く考えています。まだ、答えは出ませんが、顧客もユーザも喜んでくれて、スローガンが存在して良かったと言っていただけるサービスをつくり続けたいと思います。

yutaslogan at 19:47コメント(0)トラックバック(0) 

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伊藤 豊 スローガン株式会社 1977年11月に栃木県宇都宮市に生まれる。1996年私立開成高校卒業後、東京大学理科一類へ。文転し、文学部(行動文化学科心理学)卒業後、2000年に日本IBMに入社。システムエンジニア,関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネジャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事すると同時に、ベンチャー企業の設立に携わり、マーケティング、ウェブ系プロモーションを主に担当した後、スローガンを設立。現在に至る。 「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」 スローガンGoodfindFacebookTwitterLinkedIn